ネット銀行の法人口座一覧と各行の特徴

一部のネット銀行では法人・個人事業主向けの口座、いわゆる「法人口座」の開設が可能です。

この記事では、法人口座の開設が可能なネット銀行をすべてピックアップし、基本的なスペックとともに一覧表にまとめました。また、各行の特徴やメリットについて解説し、記事の最後では、もっともおすすめのネット銀行についても触れます。

ネット銀行で法人口座を開設しようと検討している方はぜひ参考にしてみてください。

ネット銀行（インターネット専業銀行）とは？

まずはネット銀行とは何かというところから整理してみましょう。

ネット銀行とは、2000年以降、業界に新たに誕生してきた銀行形態で、実店舗を持たずインターネット空間にのみ存在して各種銀行サービスを提供する銀行のことをいいます。

インターネット上でのサービス提供に特化しているため、「インターネット専業銀行」とも呼ばれます。主なネット銀行には「ジャパンネット銀行」や「楽天銀行」があります。

ネット銀行では振込・振替などの資金移動はパソコンやスマートフォンを使って行い、現金の入出金は提携しているコンビニや他行のATMを利用します。

手元のパソコンやスマートフォンで資金移動や入出金明細確認ができるので、 わざわざ店舗に足を運ぶ必要がなく、浮いた時間やコストを他の業務に回せます。また、有人店舗を持たないため運営コストがかなり低く、ネット銀行以外の銀行――たとえば都市銀行や地方銀行――と比べて手数料や金利の面で優れているという特徴があります。

ネット銀行以外の銀行でも「インターネットバンキング」という形でインターネットを介した銀行サービスは提供されていますが、あくまで利便性を向上させるための補完的なサービスなので、金利や手数料の面ではネット銀行に劣ります。

以下、ネット銀行（インターネット専業銀行）に対象を絞り、法人口座が開設可能な銀行をピックアップしました。

法人口座が開設可能なネット銀行と各サービス内容の一覧

法人口座を開設できるネット銀行をすべてピックアップし、基本的なサービスの仕様とともに一覧表にまとめました。

同行あての振込手数料が無料なのは、GMOあおぞらネット銀行と大和ネクスト銀行の2行です。

他行あての振込手数料は、GMOあおぞらネット銀行と住信SBIネット銀行が比較的安いです。大和ネクスト銀行は月3回まで無料ですが、4回目以降の手数料は3万円未満でも220円と高め。

口座開設までの日数もGMOあおぞらネット銀行が早く、基本部分を見る限りGMOあおぞらネット銀行が最も優れているといえます。

各ネット銀行の特徴

各行の特徴をまとめました。生い立ちや母体を知ることで、それぞれのサービスの特色や強みが見えてきます。

GMOあおぞらネット銀行

GMOあおぞらネット銀行は、大手インターネット企業のGMOグループとあおぞら銀行が共同で設立したネット銀行です。

法人口座では月額1,980円（税込）の「GMOあおぞらプライム」というオプションサービスが特徴的です。契約すると、他行あての振込手数料が振込金額に関係なく一律180円（税込）になります。

月額料金を支払う必要はありますが、3万円以上の振込なら1回あたり81円もお得になります。3万円以上の振込機会が多い事業者に最適なサービスといえます。

ジャパンネット銀行

ジャパンネット銀行はZホールディングスのグループ会社である株式会社ジャパンネット銀行が運営するネット銀行です。日本初のインターネット専業銀行として2000年に設立されました。

手数料優遇があるのが特徴的で、預金平均残高が3,000万円以上の場合、他行あての振込手数料が月5回まで無料となります。

同グループのスマホ決済である「PayPay」の利用で優遇があるのも特徴です。具体的にはPayPayの売上金を売上締め日の翌日という早いタイミングで受け取れます。また、PayPayの売上金を受け取る際の振込手数料が永年無料です。店舗運営をしている方で、スマホ決済の導入を検討している方には特に魅力的でしょう。

楽天銀行

楽天銀行は、楽天カード株式会社の子会社である楽天銀行株式会社が運営するネット銀行です。2001年に国内で2番目のネット銀行として誕生した「イーバンク銀行」が前身。2008年に楽天と資本・業務提携を行い、2009年に楽天銀行へと名称が変更されました。2020年6月時点で国内のネット銀行では最大となる900万口座が開設されています。

同じく大手のジャパンネット銀行より振込手数料の面で優れているほか、海外送金サービスの利便性が高いという特徴があり、特に海外顧客とのやり取りが多い事業者におすすめの銀行です。

住信SBIネット銀行

住信SBIネット銀行は、三井住友信託銀行とSBIホールディングスを出資会社とするネット銀行です。ネット銀行の中では後発となりますが、口座数、預金残高ともにネット銀行トップクラスの実績を持っています。

法人口座では支援サービスが用意されているのが特徴。ライトアップ社と提携し、助成金・補助金のコンサルティングサービスを、通常より安い料金で利用可能です。また、オンライン融資である「事業性融資 dayta」が来店不要で利用できます。

大和ネクスト銀行

大和証券グループが運営するネット銀行で、大和証券との連携サービスにより金利を上乗せしてくれる特典があります。また、登録した住所に外貨を現金で届けてくれる外貨宅配サービスがあるのも特徴です。

大和ネクスト銀行の法人口座は、大和証券の証券口座をすでに持っている方、またはこれから大和証券の証券口座を開設する方のみ、「ダイワのツインアカウント」の顧客として開設することが可能です。大和証券の口座なしで、大和ネクスト銀行の法人口座の開設はできない点に注意が必要です。

ネット銀行はいまのところ7行しかない

補足情報となりますが、金融庁の分類では、ネット銀行（インターネット専業銀行）は「新たな形態の銀行」のうち、「インターネット上でのみサービスの提供を行う銀行」に入ります。

実は「インターネット上でのみサービスの提供を行う銀行」に分類されている銀行は、2020年9月現在、下記の7行しかありません。

・GMOあおぞらネット銀行
・ジャパンネット銀行
・楽天銀行
・住信SBIネット銀行
・大和ネクスト銀行
・ソニー銀行
・auじぶん銀行

※このうちソニー銀行とauじぶん銀行の2行は法人口座の開設を受け付けていませんので、当記事でも情報を扱っていません。

ネット銀行の比較・情報サイトでは、セブン銀行やローソン銀行、イオン銀行などもネット銀行として紹介されていますが、これらは「新たな形態の銀行」のうちの「コンビニ等の店舗網にATMを設置し主に決済サービスの提供を行う銀行」に分類されるものであり、厳密にはネット銀行としてくくられるべきものではありません。金利や手数料がネット銀行ほど優れていないなど、各サービスの特性も若干異なっています。

まとめ

ネット銀行、インターネット専業銀行が何かを説明したうえで、法人口座が開設可能なネット銀行をピックアップし、それぞれのスペックや特徴について紹介してきました。

ネット銀行は店舗を構えずコストを抑えることで、その他の銀行よりも手数料や金利に優れたサービスを提供しています。ネット銀行なら内容は似たりよったりと思いきや、表で比べてみると各社で大きく異なっていることがお分かりいただけると思います。

なかでもGMOあおぞらネット銀行は、振込手数料と口座開設までの日数で他のネット銀行よりも優れています。他行あて振込手数料が一律180円と格安になる「GMOあおぞらプライム」も魅力的。ネット銀行で法人口座を開設するなら、総合的に見てGMOあおぞらネット銀行がもっともおすすめです。

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