法人設立時に必要となる通帳コピーはネット銀行で必要か?

法人設立時に必要となる通帳コピーはネット銀行で必要か?

法人設立時には、法務局への登記申請を行う必要があります。登記申請にはさまざまな書類が必要となり、その1つに「資本金の払い込みを証明する書類」があります。

払い込みを証明するためには通帳コピーを提出することが一般的ですが、通帳が発行されないネット銀行やWeb通帳サービスを利用している場合、どうやって書類を用意すればよいのかと困ってしまうのではないでしょうか。

そこで本記事では、法人設立に必要な書類や資本金の払い込みの手順についてご説明したうえで、通帳が発行されないネット銀行等を利用している場合の払い込み証明方法をご紹介します。今後登記申請を考えており、かつ通帳が発行されないネット銀行等を利用している場合は、ぜひ参考にしてみてください。

法人設立に必要な書類は?

法人設立をするには、会社の設立事項の決定や定款の作成、資本金の払い込みを行ったのち、必要な書類を準備して法務局への登記申請を行う必要があります。法人設立(登記申請)に必要とされる書類には、以下のようなものがあります。

・登記申請書
・登記事項などを記載した別紙
・登録免許税分の収入印紙を貼り付けた用紙
・定款
・発起人の決定書
・取締役の就任承諾書
・代表取締役の就任承諾書
・監査役の就任承諾書
・取締役の印鑑証明書
・資本金の払い込みを証明する書類
・印鑑届出書
・登記すべき事項を保存したCD-Rなどの電磁的記録媒体

これらの書類はA4サイズに統一し、印鑑証明書以外を重ねて左側をホチキス止めして提出するのが一般的です。本記事では、必要な書類のうち「資本金の払い込みを証明する書類」に着目して、資本金の払い込み手順や証明方法を詳しく解説していきます。

法人設立時に資本金を払い込む手順

ではさっそく、法人設立時の資本金を払い込む手順を1つずつ見ていきます。大まかには、以下の4つの手順に分かれます。上記でご紹介した法人設立に必要な書類の1つ「資本金の払い込みを証明する書類」についても触れているので、ぜひ参考にしてください。

1.銀行口座を用意する
2.資本金を銀行口座に払い込む
3.資本金の払い込みを証明する通帳コピーをとる
4.払込証明書を作成

1.発起人個人の銀行口座を用意する

まずは、発起人個人の銀行口座を用意します。この口座は、資本金の払い込み先となる口座です。新たに口座を開設してもいいですし、すでに開設している口座を使用しても構いません。

「法人口座じゃなくてよいの?」と思われるかもしれませんが、資本金の払い込み時点ではまだ法人設立は完了していないので、法人口座の開設はできません。よって、個人口座が必要です。発起人が複数人いる場合は、発起人を代表する方の銀行口座を使用するとよいでしょう。

2.資本金を銀行口座に払い込む

次に、資本金を銀行口座に払い込みます。払い込む金額は、設立事項に定めた金額と同額、もしくはそれ以上である必要があります。

このとき重要なのは、発起人が1人である場合を除き、必ず「預け入れ」ではなく「振り込み」で資本金を払い込むということです。発起人1人1人が資本金を払い込んでいることを証明するには、入出金明細に記載される摘要が「振り込み」でなければなりません。

ただし、自身1人だけが発起人である場合は、預け入れでも問題ありません。

3.資本金の払い込みを証明するために通帳コピーをとる

次に、資本金の払い込みを証明するために通帳コピーをとります。各発起人による資本金の払い込みが済んだら、払い込み先の銀行口座の通帳に記帳を行い、以下の3か所のコピーをとりましょう。

・通帳の表紙
・通帳の表紙の裏(氏名や口座番号、支店番号、銀行印などが記載されているページ)
・払い込まれた資本金の取引内容が記載されているページ

銀行によっては、氏名や口座番号、支店番号、銀行印などの記載が表紙の裏以外にされている場合もあるので、表紙の裏にない場合はよく探してみてください。

通帳コピーをとったら、取引内容が記載されているページについては、発起人の名前とその金額にマーカーやふせんなどで印をつけておくと目立たせることができるのでおすすめです。

4.払込証明書を作成して1冊にまとめる

最後に、払込証明書を作成して1冊にまとめます。払込証明書とは、発起人から資本金の払い込みがあったことを代表取締役が証明する書類です。払込証明書には、以下の内容を記載する必要があります。

・払い込みがあった金額の総額
・払い込みがあった株数
・1株あたりの払い込み金額(=払い込みがあった金額の総額÷払い込みがあった株数)
・年月日(資本金の払い込みが行われた日のうち最も遅い日以降の日付)
・会社の本店所在地(設立事項と同じように記入)
・会社名(商号)
・代表取締役の氏名

払込証明書の作成が完了したら、左上(あとで左端をホチキス止めするので隠れないように)と代表取締役の氏名の右側の2か所に会社代表印を押印します。次に、先ほどとっておいた通帳コピーを、払込証明書を表紙にする形で1冊にまとめて左端をホチキス止めします。

各ページの境目に会社代表印で割印を押印したら、資本金の払い込みから必要な書類を準備するまでの手順は完了です。

通帳がないネット銀行で払い込みを証明するには?

ここまで、法人設立に必要な書類や資本金の払い込み手順、払い込みを証明するための通帳コピーに方法などについて解説しました。

通帳が発行されないネット銀行を利用している方や、通帳が発行される銀行のWeb通帳サービスを利用している方は、どのように対処すればよいのか疑問に思われたかもしれません。

通帳が発行されない銀行を利用している場合は、通帳以外から必要な情報が記載されている部分を探す必要があります。

上記でご紹介した通帳コピーの方法では、通帳の表紙、表紙の裏、払い込まれた資本金の取引内容が記載されているページの3か所のコピーをとりましたが、厳密には資本金の払い込みを証明するために必要なのは、以下の情報です。

①金融機関の名前
②口座名義人の名前
③口座番号
④振込日と振込金額

通帳が発行されないネット銀行における上記の情報のうち①~③は、多くの場合、各銀行のインターネットバンキングやマイページにログインしたあとの画面に表示されていることが多いので、そちらをプリンターを使い印刷(プリントアウト)します。

情報のうち④の振込日と振込金額に関しては、インターネットバンキングやマイページからから「入出金明細」などのページに進み、該当する部分を印刷しましょう。

印刷したら、先ほどと同じように払込証明書(押印したもの)を表紙にして1冊にまとめ、左端をホチキス止めし、割印を押印すれば書類の準備は完了です。

まとめ

本記事では、法人設立に必要な書類や資本金の払い込みの手順についてご説明したうえで、通帳が発行されないネット銀行等を利用している場合の払い込み証明方法をご紹介しました。

法人設立における登記申請にはさまざまな書類が必要ですが、その1つに「資本金の払い込みを証明する書類」があります。通帳が発行されないネット銀行やWeb通帳サービスを利用している場合は通帳コピーがとれませんが、インターネットバンキングやマイページにログイン後、必要な情報が記載されているページを探して印刷することで対応可能です。

かなり手間のかかる登記申請において、通帳が発行されない銀行を利用している方はよりスムーズに書類を準備できるよう、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

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